島国である日本では、魚や貝などの海産物が豊富に獲れます。季節によって漁獲される魚は様々ですが、旬の時期に漁獲される魚は、味がよく漁獲量が多いため価格も安くお値打ちで手に入ります。今回は寒い冬に旬を迎える魚についてご紹介します。魅力的な旬の魚を楽しみましょう。
寒い冬に旬を迎える魚の魅力
旬の魚はえさをたくさん食べて体に栄養を蓄え、身に脂やうまみがのった産卵期の前と言われています。産卵に向けてエネルギーを蓄えることで、おいしくなると考えられています。冬に旬を向かえる魚は、冬から春の時期に産卵期を向かえる魚です。産卵期の魚は脂がのり、とても美味です。しかも、魚の脂にはDHAやEPAなどの、人の体では合成できない不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。不飽和脂肪酸は、血液中のLDL(悪玉)コレステロールを減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きをしている脂質のことで、人が生活していく上で必ず必要な栄養素です。しかし、現在の日本人に多い肉食中心の食生活では不飽和脂肪酸は不足しがちです。肉に含まれる脂は飽和脂肪酸といい、血中でも固まりやすく、LDL(悪玉)コレステロールを増やしてしまいます。不飽和脂肪酸の一種であるDHAは脳の働きを活性化してくれる働きがあるとされていますので、認知症の予防や成長期の脳の栄養にもなります。一方のEPAは血液の状態を健康に保ち、血栓予防に効果的です。旬の魚を食べることで、DHAやEPAもしっかりと摂ることができます。ぜひ、旬の魚を楽しみ、現代の日本人に不足しがちな栄養素を補いましょう。それでは、冬が旬の魚を一つずつご紹介していきましょう。
▼ぶり
ぶりの照り焼き、ぶり大根、ぶりしゃぶなど冬の食卓で大活躍するぶり。ぶりは成長によって名前が変わる出世魚です。西日本と東日本ではその呼び名にも差があるようです。
東日本…わかし→いなだ→わらさ→ぶり
西日本…つばす→はまち→めじろ→ぶり
おもしろいですね。ぶりの旬は12月から3月ごろです。寒ブリとも呼ばれ脂がのって身がしまり、その味は絶品です。ぶりに含まれる特徴的な栄養素は肝機能を高める働きをもつタウリンです。タウリンはアミノ酸の一種で、肝機能を高める効果や血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす効果、動脈硬予防、視力の回復などに効果が期待できます。年末年始で飲酒の機会が増える季節にはぴったりの魚ですね。
▼かれい
かれいと一言で言っても、実はその種類は20種類以上あります。マコガレイ、マガレイ、子持ちカレイなどが有名ですね。煮つけやムニエルなど、和にも洋にも合う淡白な味わいは魅力的です。そんなかれいの特徴的な栄養素はセレンです。セレンはミネラルの一種で、強い抗酸化作用を持っています。老化現象の予防に効果があると言われています。また、セレンは有毒物質を解毒させる効能も持ち合わせています。お酒の飲みすぎの時にも一役買ってくれそうですね。
▼ししゃも
焼いたり唐揚げにしたりして、丸ごと食べられることが魅力のししゃもです。ししゃもに含まれる魅力的な栄養素は何といってもカルシウムです。カルシウムは骨の部分に多く含まれていますので、ししゃものような骨ごと食べる魚はカルシウムの宝庫です。カルシウムをしっかりと摂ることで、骨粗しょう症の予防やイライラの予防に効果的です。
▼ふぐ
ぷりっとした歯ごたえと深い味わいが魅力的なふぐです。調理法も多岐にわたり、刺身やなべ、唐揚げや湯引きなど、フルコースを楽しめるほど豊富な調理法がある魚です。ふぐには美容効果が期待できる栄養素がたくさん含まれています。皮や骨の周りの透明でぷりっとした部分には、コラーゲンが豊富に含まれています。ふぐに含まれているコラーゲンは海洋性コラーゲンといい、肌への吸収が特に優れています。コラーゲンを摂ることにより、シミやしわを防ぎ、肌にハリと弾力が生まれると言われています。その他にも、美容のために必要不可欠なビタミンB群も豊富に含まれています。ビタミンB群は肌のターンオーバーを促したり、シミの元であるメラニンの生成を抑制したりと、肌の健康維持のために働いています。美容成分たっぷりのふぐを食べて、乾燥しがちな冬を乗り切りたいですね。
▼はたはた
干物として有名なはたはたですが、秋田県ではしょっつる鍋やなれずしなどとしてよく使われる魚で、秋田名物とされています。はたはたに豊富に含まれる栄養素はビタミンEです。ビタミンEは抗酸化作用により活性酸素を除去しシミやしわを防ぐ作用や、毛細血管を広げて血行を良くする働きが期待できます。血行がよくなることで、冬に起こりがちな冷え症状、肩こり、腰痛などの症状の緩和に効果的です。
まとめ
冬においしい、冬が旬の魚をご紹介いたしましたがいかがでしたか?旬のものを食べると、その季節ならではの困りごとも少し、改善されるかもしれませんね。そして、何より旬は四季のある日本ならではのものです。魚の養殖が盛んに行われ、1年中、好きな魚が食べられる昨今ですが、旬の魚は栄養も味もピカイチです。ぜひ、旬の魚を味わってくださいね。
管理栄養士
管理栄養士として、病院・保育園で長年勤務している。保育園では献立作成・発注・大量調理・食育を担当。現在は病院にて、栄養指導・栄養管理・献立作成などを担当している。 プライベートでは、5歳と2歳の兄妹の母として家族の健康を守るべく日々奮闘しております。