骨の健康を保つため、骨粗しょう症予防に摂りたい栄養素のひとつがカルシウムです。カルシウムを摂るのに良いタイミングがあるのをご存知でしょうか?
今回は
・カルシウムが体に大事な理由
・カルシウムを摂るのにおすすめの時間帯
・カルシウムがたくさん摂れるレシピ
をご紹介します
日本人はカルシウムが不足している?
令和元年国民健康・栄養調査の結果によると、カルシウムは1日1人当たりの平均値(1歳以上の総数の平均値)は505mg と、18~74歳女性の推奨量の650mgを満たしていない状況です。体内のカルシウムの約99%は、骨や歯に含まれていますが、カルシウムが不足した食事を続けていると、骨からカルシウムが溶け出て不足分を補うことに。カルシウム不足は骨がもろくなる原因になるため食事からしっかりと摂りたいですね。そこでここでは、女性に多い骨粗しょう症について解説します。
骨粗しょう症は女性に多い病気
骨粗しょう症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。50代から徐々に増え始め、女性のほうが男性よりもはるかに発症率が高い病気です。女性に骨粗しょう症が多い理由は、骨が細かいことや妊娠、出産、授乳でたくさんのカルシウムを使うためです。また、更年期になると骨量を維持する働きをする女性ホルモンの分泌が激減することも理由のひとつです。
骨粗しょう症になっても、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。骨折が生じると、その部分が痛くなり動けなくなったり、背骨が丸くなったり身長が縮んだりしてしまうことも。
骨粗しょう症は寝たきりの原因にもなりやすいため、予防として毎日の食事でカルシウムをしっかり摂りたいですね。
骨は毎日作り替えられている
からだの中の骨は生きています。同じように見えても、新たに作られること(骨形成)と溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返しています。骨の新陳代謝のことを「リモデリング」といいます。骨粗しょう症は、このバランスが崩れることでおこり、骨がスカスカになってきます。
骨には骨芽細胞(こつがさいぼう)と破骨細胞(はこつさいぼう)があります。
■骨芽細胞
カルシウムをくっつける働きをする細胞です。女性ホルモンと骨を縦方向につぶす力としての重力と重量、ビタミンDの力を借りて、骨にカルシウムをくっつけていきます。
■破骨細胞
骨からカルシウムを取り出す作用を持つ細胞です。血液中のカルシウムの量を一定に保つために骨からカルシウムを取り出しています。
カルシウムを摂るのにおすすめの時間帯は?
食事からカルシウムを摂るなら、夕方がおすすめです。夜に体の成長や修復のために、カルシウムが使われるからです。そのため、夕方にカルシウムの多い食品を摂る方が骨量を増やすのに役立ちます。骨をつくるはたらき(骨形成)と、骨を壊すはたらき(骨吸収)は、体内時計によってバランスを保っています。昼間は骨吸収が主に働き、夜は骨形成が主体になります。骨の健康を考えるなら夕食にこそ、カルシウムたっぷりのメニューを取り入れたいですね。
カルシウムがたくさん摂れるレシピ
ここでは、カルシウムがたくさん摂れるレシピを3つご紹介します。バランスのよい食事を基本に、骨の材料となるカルシウムを毎日しっかり摂りましょう。吸収を助けるたんぱく質やビタミンD、ビタミンKと合わせて摂り、丈夫な骨を保つようにしたいですね。
エビとブロッコリーのミルク煮
牛乳にはカルシウム、ブロッコリーにはカルシウムの吸収を助けるビタミンKが多く含まれています。ビタミンKはカルシウムを骨に沈着させるたんぱく質の一種、オステオカルシンの合成に欠かせないビタミンです。
【材料(2人分)】
・ブロッコリー…小1株
・むきえび…100g
・塩…少々
・酒…小さじ1
・しょうゆ・酒…各小さじ1/2
・レタス…3枚
・コーン…50g
・サラダ油…大さじ1/2
A
|水…1/4カップ
|顆粒ブイヨン…小さじ1/2
|砂糖…小さじ1/2
|酒…小さじ1
|塩…少々
・牛乳 200ml
B
|片栗粉…小さじ2
|水…大さじ1 1/2
【作り方】
- ブロッコリーは小房に分けて茹でる。
- えびは背ワタを竹串などで取り除いて、塩と酒を振っておく。
- 鍋にサラダ油を入れ、②を炒め、コーンも加えて炒める。Aを入れて煮立ったら、牛乳を加え、弱火で5分煮る。レタスをちぎって加え、Bの水溶き片栗粉を加えてとろみをつけたら出来上がり。
豚肉のチーズロール
(中見出し)豚肉のチーズロール
プロセスチーズにはカルシウムが多く含まれています。乳製品のカルシウムは吸収率がよいため、お料理にも取り入れたいですね。
【材料(2人分)】
・豚もも薄切り肉…150g
・塩…少々
・酒…小さじ1
・プロセスチーズ…40g
・白ねぎ…1/2本
・エリンギ…3本
・アスパラ(冷凍)…2本
・サラダ油…大さじ1
・しょうゆ…小さじ2
・みりん…小さじ2
・添え野菜…スナップエンドウ、ミニトマトなどお好みの野菜
【作り方】
- 豚肉は1枚ずつ広げて、塩と酒を振っておく。
- チーズは7mm角の棒状に切る。白ねぎは5cm長さに切り、縦4等分に切る。エリンギは横半分に切り、縦4等分に切る。アスパラも5cm長さに切っておく。
- ①に②の材料を等分にのせて端から巻いていく。
- フライパンにサラダ油を熱し、③を転がしながら焼く。余分な油をペーパータオルでふき取り、しょうゆとみりんをからめる。
- 食べやすい大きさに切って、皿に盛り付ける。
納豆卵焼き
納豆とプロセスチーズにはカルシウムが多く含まれています。卵のタンパク質が、カルシウムの吸収を促すのに役立ちますよ。
【材料(2人分)】
・卵…3個
・ひきわり納豆…1パック(40g)
・しょうゆ…小さじ1/2
・プロセスチーズ…30g
・わかめ(もどしたもの)…15g
・刻みねぎ…適量
・お好みで大根おろしを適宜
A
|酒…小さじ1
|砂糖…小さじ1
|しょうゆ…小さじ1/2
|塩…少々
・サラダ油…大さじ1/2
【納豆卵焼きの作り方】
- 納豆はしょうゆを加えて混ぜる。(添付のだししょうゆでもよい)チーズは5mm角に切る。わかめは水で戻して食べやすい長さに切る。
- 卵を割りほぐし、①の材料とAの調味料、刻みねぎを混ぜる。
- フライパンに油を熱し、②を流し入れ、半熟状になったらスプーンで大きく混ぜる。片側に巻き寄せ、全体に焼き色をつける。
- アルミホイルに包んで形を整え、粗熱がとれたら食べやすい大きさに切り、盛り付ける。
お好みで大根おろしを添える。
まとめ
カルシウムを摂るのにおすすめの時間帯とレシピをご紹介しました。女性はカルシウムが不足すると、骨粗しょう症になりやすく、ちょっとしたはずみで転倒しただけで、骨折してしまうことも。丈夫な骨を保つためには、バランスのよい食事を基本に、夕食にもカルシウムたっぷりの食材を取り入れましょう。

管理栄養士・健康運動指導士・ライターとして活動。 特定保健指導では生活習慣病予防を、介護予防事業では高齢者のフレイル予防と、 食事と運動の両面から健康づくりのお手伝いをしています。