骨粗しょう症は骨が弱くなり、骨折の危険性が高まる疾患で女性に多く見られます。閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少や加齢、栄養不足などさまざまな要因で骨量は低下します。そこで今回は、骨粗しょう症予防におすすめの食べ物と生活習慣を解説します。早めの対処で丈夫な骨を保ち、いつまでも自立した生活を過ごしましょう。
骨粗しょう症とは?
女性に多い骨粗しょう症
骨粗しょう症は、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。骨の強度は骨の中身が網目状に詰まった組織によって保たれています。この組織が乾いたスポンジのようにすかすかになる状態が骨粗しょう症です。身体のつくりが小さく、出産や授乳、更年期があるなどの理由から、女性に圧倒的に多い病気です。
骨粗しょう症は痛みがないことが多く、放っておくとちょっとしたはずみで転倒して骨折したり、背骨が曲がってしまうことも。高齢者の方が軽く尻もちをついただけで、強い腰痛を訴えた場合、骨粗しょう症が原因の圧迫骨折が疑われます。股関節が痛い場合は、大腿骨の頸部骨折が疑われます。
骨折をすると、その部分が痛くなったり動けなくなったりすることも。寝たきりの状態が続くと要介護状態にもなりかねません。
若いころの身長と比べて2cm以上縮んでいる場合は、骨粗しょう症のサインかもしれません。骨密度検査を受けたり、規則正しい生活を送るなどして予防しましょう。
骨は毎日つくりかえが起きている
骨は成長期が終わっても、気づかないうちに新しくなっています。骨の新陳代謝のことを「リモデリング」といいます。骨には骨芽細胞(こつがさいぼう)と破骨細胞(はこつさいぼう)があります。
■骨芽細胞(こつがさいぼう)■カルシウムをくっつける働きをする細胞です。女性ホルモンと、骨を縦方向につぶす力としての重力と重量、ビタミンDの力を借りて、骨にカルシウムをくっつけていきます。
■破骨細胞(はこつさいぼう)■骨からカルシウムを取り出す作用を持つ細胞です。血液中のカルシウムの量を一定に保つために骨からカルシウムを取り出しています。
このように骨は絶えず形成、吸収、再形成が行われており、見た目上で全体の形が変化することはありません。しかし、女性ホルモンは更年期以降減少していき、同時に骨芽細胞の働きも減っていきます。これが骨粗しょう症が女性に多い原因です。
骨の健康を保つ生活習慣8か条
食事は1日3食バランスよく食べる
1日3食バランスよく適量を食べるようにしましょう。骨粗しょう症はカルシウムの摂取だけで予防できるものでなく、ほかの栄養素や運動も含めた生活習慣の改善が重要です。極端な食事制限(ダイエット)は、必要な栄養素を摂ることができないため、骨の健康を保つためにも、さまざまな食品をバランスよく食べるようにしましょう。
カルシウムをたっぷりとろう
皮膚や髪などの組織と同様に、骨も新陳代謝を繰り返しています。主成分であるカルシウムが不足すると新しい骨組織を作ることができません。カルシウムが豊富な乳製品や小魚、大豆製品、緑黄色野菜を積極的に食べましょう。カルシウムは吸収率が低い栄養素の一つです。摂取した量がそのまま体内で利用されるわけではありません。成人では通常の食事での吸収率は25%といわれているため、意識して摂りたいですね。
【おすすめ食材】牛乳、プレーンヨーグルト、プロセスチーズ、干しエビ、しらす干し、木綿豆腐、納豆、がんもどき、モロヘイヤ、小松菜、大根の葉、チンゲン菜、切り干し大根、ひじきなど
ビタミンDを多く含む食品もとろう
カルシウムは、ビタミンDと一緒に摂ると吸収率がアップします。ビタミンDを多く含む食品も積極的に摂りましょう。ビタミンDは干ししいたけや魚に多く含まれています。
【おすすめ食材】まいわし、秋鮭(白鮭)、さんま、まがれい、うなぎの蒲焼、しらす干し、干しいたけ、きくらげなど
大豆イソフラボンも積極的にとろう
大豆イソフラボンは大豆や大豆製品に多く含まれています。女性ホルモンのエストロゲンと同じように働く場合もあるとされ、骨粗しょう症予防や更年期障害の改善に有効とされています。
【おすすめ食材】ゆで大豆、豆腐、厚揚げ、凍り豆腐、納豆、豆乳、きな粉など
加工食品を摂りすぎない
加工食品やスナック菓子には食品添加物として多量のリンが含まれています。リンを摂り過ぎるとカルシウムを便の中に出してしまいます。加工食品やスナック菓子を食べる場合は、牛乳を一緒に飲むなどしてカルシウムを摂る工夫をするとよいでしょう。
運動習慣をつけよう
骨を丈夫にするには、重力の刺激を多く受けるような運動がおすすめです。ウォーキングやジョギング、階段昇降で骨に刺激を与える、スクワットや片足立ちなどで転倒しにくい体作りを行うとよいでしょう。
適度に紫外線を浴びると体内にビタミンDが生成され、カルシウムの吸収を促進します。紫外線量の少ない冬はビタミンDが不足がちになります。積極的にビタミンDを多く含む食品を食べるとともに、1日1回は外に出て、日光に当たるようにしましょう。夏なら木陰で30分、冬なら手や顔に1時間程度、日に当たるだけで充分です。
過度の飲酒と喫煙も骨粗しょう症の危険因子に
お酒には利尿作用があるため、いったん吸収されて体内に入ったカルシウムが、必要な分まで排泄されてしまうこともあります。お酒は適量内で楽しむようにしましょう。喫煙は骨密度の低下を進めることがわかっています。特に閉経後の女性においては、骨粗しょう症や骨折のリスクを高めることが、科学的に証明されています。骨の健康を考えるなら、喫煙を控えるようにしましょう。
骨の健康を保つレシピを紹介
ここでは丈夫な骨をつくるヘルシーレシピを2つ紹介します。骨の健康によいといわれる食品を摂ると同時に、バランスの良い食事を心がけましょう。
かえりちりめんと小松菜のパスタ
【材料:2人分】
スパゲティー(乾)…120g
かえりちりめん…15g
小松菜…60g
白ねぎ…30g
にんにく(みじん切り)…小さじ2
赤唐辛子(小口切り)…少々
オリーブ油…大さじ1/2
醤油…小さじ1
塩こしょう…少々
【作り方】
1.かえりちりめんはさっと水にくぐらせ、水気を切る。小松菜は塩(分量外)を加えた熱湯で茹で、冷水とって水気を絞り3cm長さに切る。白ねぎはみじん切りにする。
- 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩少々(分量外)を入れてスパゲティーを茹でる。茹であがったらざるにあげ、オリーブ油少々で和えておく。ゆで汁大さじ1と醤油を混ぜ合わせておく。
3.フライパンにオリーブ油、にんにく、赤唐辛子を入れて弱火で炒め、香りが立ったら1を加えて炒める。
4.3にスパゲッティを入れてさっと炒め合わせ、混ぜ合わせた醤油とゆで汁、塩こしょうを加えて味をととのえてでき上がり。
秋鮭のきのこあんかけ
【材料:2人分】
秋鮭…2切れ
下味
|しょうゆ…小さじ2
|酒…小さじ2
|生姜のしぼり汁…小さじ1
片栗粉…適宜
バター…小さじ1
エリンギ…2本(50g)
えのきだけ…1/4袋(50g)
干ししいたけ…小4個(12g)
玉ねぎ…1/4個(50g)
しょうが…1かけ
ごま油…小さじ1
きのこあんのたれ
|めんつゆ…大さじ1
|干ししいたけの戻し汁…100ml
|片栗粉…小さじ1
|水…小さじ1(水溶き片栗粉用)
【作り方】
1.秋鮭に下味を付けて30分くらいおいておく。干ししいたけは水で戻しておき、戻し汁は置いておく。
2.生姜をみじん切りにする。えのきだけは石づきを取ってほぐし、食べやすい大きさに切る。エリンギは縦にスライス、干ししいたけは石づきをとってせん切りにする。玉ねぎは薄切りにする。
3.フライパンにごま油をひき、生姜と玉ねぎを炒めてしんなりしてきたら2のきのこを加えて炒める。
- 3にめんつゆと干ししいたけの戻し汁を入れ、沸いてきたら一度火を止めて水溶き片栗粉を入れる。再び火をつけてとろみをつける。
5.1の鮭に片栗粉をまぶす。フライパンにバターを入れて熱し、両面をこんがりと焼く。
6.5を皿に盛り、4のきのこあんをかけてでき上がり。
まとめ:骨の健康を維持して骨粗しょう症を予防しよう
骨粗しょう症の予防に役立つ食べ物と生活習慣を解説しました。 骨密度は加齢とともに減少し、知らず知らずのうちに骨粗しょう症に進行していることもあります。1日3食バランスのよい食事を心がけるとともに、運動や日光浴を取り入れて丈夫な骨を維持しましょう!
管理栄養士・健康運動指導士・ライターとして活動。 特定保健指導では生活習慣病予防を、介護予防事業では高齢者のフレイル予防と、 食事と運動の両面から健康づくりのお手伝いをしています。