中高年になると、若い頃に比べて「髪にハリやコシがなくなってきた」「ボリュームがなくなってきた」「白髪が増えた」など、悩む方も多いのではないでしょうか?このような髪の悩みは、加齢によるもの以外に生活習慣も大きく影響しています。
今回は、髪の悩みを改善する生活習慣と食事について管理栄養士が解説します
髪の不調を改善する生活習慣
1.
髪の悩みは、日ごろの生活習慣の見直しで改善することもあります。次に紹介する生活習慣を振り返ってみましょう。
バランスのよい食事
髪や爪、皮膚などの体の表面の組織は、新陳代謝が活発で影響が現れやすいため、食事にも気をつけたいところです。偏った食生活が、髪や頭皮の老化を進めることになります。太るからといって「肉は避けて野菜だけ」という食事は髪の不調を招く原因に。
偏った食生活が続くと、髪の成長に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルが不足してしまいます。髪や頭皮を守るために、主食・主菜・副菜のそろった、バランスのよい食事を摂るようにしましょう。
適度な運動習慣をもつ
適度な運動は、全身の血流を促し、頭皮や髪に栄養が届きやすくなる効果が期待できます。普段あまり運動をしていないという人は、ウォーキングやラジオ体操、階段を利用するなど、「今より10分多く体を動かす」ことから始めるとよいでしょう。
ストレスをためこまない
ストレスも髪の不調が起こる原因の一つ。ストレスや過労によって、自律神経のバランスが崩れたり、血行が悪くなったりして、髪に栄養が行き届かず抜け毛が増えることがあります。体に過度のストレスがかかることで起こる抜け毛もあることから、無理をせずリラックスする時間をとるようにしましょう。
質のよい睡眠をとる
「睡眠不足はお肌によくない」といわれますが、髪の健康にも影響を与えます。健康な髪は眠っている間に育ちます。睡眠中に分泌される「成長ホルモン」には髪が太く丈夫に育つようサポートする働きがあります。成長ホルモンが多く分泌されるのは、入眠後3時間ほどのもっとも深い睡眠の時間帯。質の良い睡眠がとれるよう、寝る30分〜1時間前にはスマートフォンやパソコンなどのブルーライトを浴びるのは避け、リラックスして過ごすように心がけましょう。
健康な髪や頭皮をサポートする栄養素
髪や頭皮の健康のためには、バランスの良い食事が基本です。その中でも次に紹介する栄養素を多く含む食品を意識して摂りましょう。
タンパク質
タンパク質は、筋肉や皮膚、髪の毛、爪、血液、ホルモンなどのもととなる重要な栄養素。英語では「プロテイン」といいますが、これはギリシャ語の「第一にとるべきもの」という意味からきています。タンパク質が不足すると、細胞の新陳代謝がスムーズに行われなくなり、健康な髪を維持できなくなります。
タンパク質は体内に蓄えることができないため、髪や頭皮の健康のためには、1日3食毎食ごとに意識して摂りましょう。
【タンパク質を多く含む食品】
肉類、魚貝類、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品など
ビタミンB2
ビタミンB2は成長に欠かせないビタミン。タンパク質や脂質、糖質の代謝に関係しています。タンパク質の合成にも関わっているため、「発育のビタミン」ともいわれています。健康な髪の毛や皮膚、爪などを作るのに欠かせないビタミンなので、不足すると髪のトラブルや肌荒れとしてあらわれることも。
魚やレバー、牛乳・乳製品、卵などの動物性食品に多く含まれているため、野菜中心の食生活を送っている人は、これらの食品も摂るようにしましょう。
【ビタミンB2を多く含む食品】
豚レバー、牛レバー、鶏レバー、うなぎの蒲焼、まがれい、ぶり、卵、牛乳、ヨーグルト、諸々、納豆など
ビオチン
ビオチンは、皮膚や髪の毛を健康に保つためにも重要な働きをしているビタミン。糖質や脂質、タンパク質の代謝に関わっています。不足すると髪の毛が抜けたり、白髪になりやすくなったり、肌が荒れたりします。食品中のビオチンは、タンパク質としっかり結びついていて、ほとんどすべての食品に含まれています。腸内でも合成されているため、健康的な食生活を送っていれば、不足する心配はほとんどないでしょう。
【ビオチンを多く含む食品】
鶏レバー、豚レバー、牛レバー、まがれい、あさり、卵黄、大豆、青のり、納豆、アーモンド、まいたけ、ピーナッツ、アーモンドなど
ビタミンC
ビタミンCは強い抗酸化作用があるビタミン。野菜や果物に多く含まれています。細胞の働きを促し、頭皮の状態を整える作用があります。 ビタミンCは体の外に排出されるまでの時間がとても短いため、一度にたくさん摂ってもため込むことができません。毎食ごとに野菜や果物を摂るようにして、不足しないようにしましょう。
【ビタミンCを多く含む食品】
赤ピーマン、黄ピーマン、ブロッコリー、菜の花、カリフラワー、かぶの葉、じゃがいも、キウイフルーツ、いちご、オレンジなど
亜鉛
亜鉛は、タンパク質の合成や細胞の新陳代謝に関わるミネラル。亜鉛が不足すると、髪の毛や皮膚、消化管の粘膜といった新陳代謝が盛んな器官が影響を受けやすくなります。動物性食品に多く含まれるので、植物性食品に偏らないようにすれば、不足する心配はありません。加工食品の利用頻度の高い人やアルコールをよく飲む人、極端なダイエットなどを行っている人は不足することがあるので要注意です。
【亜鉛を多く含む食品】
牡蠣(かき)、豚レバー、牛もも肉(赤身部分)、ラム肩肉、 玄米ご飯、納豆など
髪の悩みを改善するレシピ|チキンドリア
鶏肉や牛乳、チーズに多く含まれている良質なタンパク質や、ほうれん草に多いビタミンAやビタミンCが髪や皮膚の成長を助けてくれます。
【チキンドリアの材料:2人分】
米…1合
顆粒コンソメ…小さじ½
バター…4g
鶏むね肉皮なし…120g
ベーコン…2枚
ほうれん草…1/2束(100g)
玉ねぎ…中1個(100g)
しめじ…1/4株(30g)
オリーブオイル…大さじ1
バター…4g
塩こしょう…少々
顆粒コンソメ…小さじ½
小麦粉…大さじ2
牛乳…300ml
ピザ用チーズ…50g
【チキンドリアの作り方】
1.コンソメライスを炊く。
米1合をとぎ、炊飯器の目盛りに合わせて水を入れ、コンソメを加えて炊く。炊き上がったらバターを加えて混ぜる。
2.鶏むね肉は小さめの一口大に切り、軽く塩こしょうをしておく。しめじは石づきを切り落とし、ほぐしておく。玉ねぎは薄切りにする。
3.ほうれん草をさっと茹でて水に取り、水気を絞って長さ3cmに切る。ベーコンは2cm幅に切る。
4.フライパンにオリーブオイルと鶏むね肉、玉ねぎ、しめじ、ベーコンを入れて中火で炒める。鶏むね肉の色が変わったら、さらにバターを加えて炒める。
5.4に小麦粉 大さじ2を加えて、粉気がなくなるまで炒める。牛乳を少しずつ加えて溶きのばし、顆粒コンソメも加える。とろみがつくまで焦げないようにかき混ぜながら3分程度煮る。3のほうれん草を加えてさっと混ぜる。
6.深めの耐熱容器にコンソメライスを茶碗軽く1杯程度入れ、その上に5をかける。さらにピザ用チーズをのせて、オーブントースターまたは約210℃に熱したオーブンで、焼き色がつくまで10分ほど焼く。
まとめ.髪の悩みを改善するためには食事も大切
歳を重ねるごとに気になる、髪の悩みを改善するための生活習慣と食事について解説しました。
髪や頭皮も、私たちが毎日摂っている食事から作られています。タンパク質やビタミン、ミネラルをしっかり摂って、髪と頭皮の老化を予防しましょう。

管理栄養士・健康運動指導士・ライターとして活動。 特定保健指導では生活習慣病予防を、介護予防事業では高齢者のフレイル予防と、 食事と運動の両面から健康づくりのお手伝いをしています。