暑い夏になれば起きやすい「熱中症」。
・水分をこまめに摂る
・喉が渇く前に水分を摂る
などの予防法はご存じの方が多いと思いますが、具体的にどんな風に食事や生活に注意をすればよいのでしょうか。今回は暑い夏を元気に乗り切るために必要な、熱中症予防に役立つ食事や栄養素、おすすめのレシピなどをご紹介します。
熱中症とは
熱中症とは外気温、湿度、風通しなどの影響によって体に様々な不調が出ることです。熱中症の症状は様々ですが、めまいや立ちくらみ、筋肉痛やこむら返りなどが、その初期症状であると言われています。これらの症状を感じたらすぐに、涼しい場所で休む、少しずつ水分を摂る、などの対応をしましょう。この時に、経口補水液での水分補給ができれば安心です。さらに熱中症の症状が進むと、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感などが現れます。このような症状が現れた場合には、医療機関を受診しましょう。重症になると、全身のけいれんや意識消失が起こり、最悪の場合命にも関わります。このようなつらい症状にならないためにも、熱中症の予防法を正しく知っておきましょう。
熱中症の予防法
つらい熱中症はどのようにすれば防ぐことができるのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。
▼こまめに水分補給する
聞いたことがあると思いますが、熱中症予防で最も大切なことは、喉が渇く前に飲むことです。喉が渇いたと感じたときにはすでに身体は水分不足の状態です。そうなる前にこまめな水分摂取を心がけましょう。体の水分が不足すると、汗の原料がなくなる、つまり汗による体温調節ができなくなってしまいます。暑い環境の中ではしっかりと汗をかき、体温を下げることが大切なのです。また、汗の原料には塩分(ナトリウム)も含まれています。大量の汗をかいたときには、水分だけではなく、ナトリウムを含むスポーツドリンクや塩飴、塩タブレットなども水分と同時に摂取しましょう。ただし、これらには塩分と同時に多量の糖質も含まれています。摂りすぎると急性糖尿病などの病気になることもありますので、やみくもに摂りすぎることがないように注意が必要です。あくまでも、「大量に汗をかいたとき」に摂取するに留めましょう。
3食の食事をしっかりと摂る
暑くて食欲が落ちることの多い夏ですが、そんな季節だからこそ、食事は3食きっちりと摂り、体調を整えておくことも大切です。朝食抜きという方がいらっしゃるかと思いますが、朝食は夜中に汗をかき、失った塩分を補給するためにも大切な食事です。おにぎりやパンなど簡単なもので構いませんので、朝食抜きの習慣はやめましょう。
熱中症予防のための食事
熱中症予防のためには1日3食食べることが大切だとお伝えしましたが、具体的にどのような食事がよいのでしょうか。おすすめの食べ物や栄養素、レシピをご紹介していきます。
汗とともに失われるミネラルを摂ろう
大量の汗をかくとともに失われるミネラルはたくさんあります。ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄など…。中でもカリウムは失われる量が多いため食べ物からも補う必要があります。カリウムはトマト、レタスなどの生野菜や、芋・豆製品、果物などに多く含まれています。水に溶けだす性質がありますので、ゆでたり水にさらしたりすると、食品の中から抜け出てしまいます。夏場の生野菜はさっと水洗いしてサラダで食べ、間食や朝食には生の果物を摂ることがカリウム補給のためにもおすすめです。サラダや果物なら暑くて食欲の沸かない季節でも食べやすいですね。
ビタミン補給も大切
暑い夏場にはビタミンの補給も大切です。ビタミンB1は糖質の代謝に欠かせない栄養素です。不足すると疲れやすくなったり、だるくなったりしてしまいます。夏になると、食事内容が麺類中心になったり、冷たいアイスやシャーベット、ビールなどの摂取量が増えたりしますが、それらには糖質が多く含まれます。糖質を多く摂るとビタミンB1の消費量が増え、体内で不足状態になってしまいます。ビタミンB1を多く含む食材は、豚肉、うなぎ、そば、玄米、ごまなどです。ごはんには玄米を混ぜたり、うどんよりそばを選んだり、サラダは豚しゃぶサラダにしたり…といった具合に、ビタミンを摂取できるように考えていきましょう。
夏場におすすめの熱中症予防レシピ
暑い夏でもさらっと食べやすく、不足しがちなカリウムやビタミンB1をしっかりと摂れるレシピです。
~冷飯~
材料(2人分)
冷ごはん 茶碗2杯分
豚肉(しゃぶしゃぶ用) 100g
レタス 1枚
トマト 1/2玉
みょうが 1個
大葉 5枚
(出汁)
和風だしの素 小さじ1
薄口しょうゆ 小さじ1
ごま油 小さじ1
水 2カップ
作り方
- 出汁の材料を火にかけ味を調え、冷蔵庫で冷やしておきます
- 豚肉は茹でて氷水にさらします
- レタス・みょうが・大葉は細切りに、トマトはざくぎりにします
- 冷ごはんをざるに入れ水で洗います
- ④を器に盛り、野菜と豚肉を乗せ①の出汁をかければかんせいです
まとめ
熱中症予防のための食事のポイントについてご紹介しましたがいかがでしたか。夏バテという悪循環に陥らず、暑い夏を元気に乗り切るために、しっかりと食事と水分を摂りましょう。
管理栄養士
管理栄養士として、病院・保育園で長年勤務している。保育園では献立作成・発注・大量調理・食育を担当。現在は病院にて、栄養指導・栄養管理・献立作成などを担当している。 プライベートでは、5歳と2歳の兄妹の母として家族の健康を守るべく日々奮闘しております。