蒸し暑い日が続き体力が削られる夏が終われば、過ごしやすい秋がやってきます。
秋といえば、食欲の秋!
多くの食材が旬を迎える秋に、採れたての食材をその時期にいただこうという考えが広まり「食欲の秋」と呼ばれるようになったと言われています。そんな秋は果物もおいしい季節です。秋の果物の種類は?栄養は?この記事では、そんな疑問にお答えしていきます。
旬の果物を食べるとどう良いの?
ぶどう、柿、梨、栗…。少し考えただけでも秋が旬の果物はたくさん思いつくことでしょう。旬の果物を食べることは、体にどのような良い影響を与えるのでしょうか?果物に含まれる栄養はいろいろありますが、果物は生で食べることが多いので、作物の栄養を加熱によって失うことなくダイレクトに吸収しやすいといったメリットもあります。旬の果物をたくさん食べ健康に秋を過ごしましょう。それでは、秋が旬の果物について詳しく見ていきましょう。
柿 かき
古くから日本国内で栽培されてきました。平安時代の書物にも食用の果物として記述が残っているそうです。
柿には甘柿と渋柿があり、渋柿の木の方が丈夫で育てやすいとされています。そのため、渋柿の木に甘柿の枝を接ぎ木(つぎき)した木も多く、1本の木の中に甘い実と渋い実が両方なる木もあります。
柿に含まれる栄養はビタミンCや柿タンニンなどです。ビタミンCには免疫力アップ、コラーゲンを生成し肌の調子を整える抗酸化作用や、自律神経を整えるといった作用があります。
柿1個には、1日に必要なビタミンCが丸ごと入っていると言われています。柿タンニンは、ポリフェノールの一種で抗酸化作用があり、血糖値の上昇を抑制してくれる働きもあります。
葡萄 ぶどう
秋が旬の果物は?と聞かれると、真っ先にぶどう!と答える方が多いのではないでしょうか?
生でももちろんおいしいぶどうですが、ワインやジュース、ドライフルーツと、ぶどうの食べ方は多岐にわたり、その品種の多さからも、ぶどうが昔から人々に愛され続けてきたことがわかります。
ぶどうに含まれる栄養はブドウ糖、ポリフェノール、有機酸などです。ブドウ糖は体内に取り込まれると素早くエネルギーに変換されます。そのため、疲れを回復する効果は抜群です。また、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源です。頭を使う作業のお供としてもおすすめです。
ぶどうの皮には視力改善作用のあるポリフェノールの一種であるアントシアニンが、たくさん含まれています。皮ごと食べたり、ジュースやワインとしていただいたりすると、皮の栄養も丸ごと吸収することができます。
ぶどうには、酒石酸、リンゴ酸といった有機酸も豊富に含まれています。これらを摂ることにより、腸内の善玉菌は増え、腸内環境が健康に保たれると言われています。
梨 なし
日本国内でも古くから栽培されてきた果物です。弥生時代にはすでに栽培が開始されていたと言われています。
シャキシャキとした独特の食感が魅力的ですね。梨に含まれる栄養成分で特徴的なのは、ソルビトールです。
ソルビトールは果糖の一種です。甘味を持ちますが、低カロリーで虫歯になりにくいといった性質を持ち合わせていますので、ダイエット中のデザートやお子さんの間食にもおすすめです。
また、梨には疲労回復効果のあるアスパラギン酸や、解熱作用のあるカリウムも含まれていますので、夏バテで弱った体を回復させるのにもぴったりです。
無花果 いちじく
独特の食感と甘さで魅力的なイチジクも秋に収穫期を迎える果物です。
アダムとイブが裸を隠すのに使われている葉はイチジクの葉であるというウンチクもありますので、古くから存在している植物であることがわかります。日本には中国から持ち込まれました。
イチジクの皮や果肉の赤い部分には眼精疲労回復や視力改善作用のある、アントシアニンが含まれています。イチジクの乳白色の液体には、フィシンというたんぱく質分解酵素も含まれています。
肉や魚の食べすぎでの不快感の解消にぴったりです。しばしば、肉や魚料理に用いられているのもうなづけますね。
また、イチジクには植物性エストロゲンといって、女性のホルモンバランスを整える成分も含まれています。女性特有の生理痛や更年期障害を緩和する効果も期待できます。
栗 くり
ゆでたり焼いたり加熱して食べる栗。日本種、中国種、ヨーロッパ種、アメリカ種と主に4つの種類に分けられます。その中でも、粒が大きく甘味が控えめで料理に使われる日本種と、天津甘栗などに代表される小粒で甘い中国種が人気の高い品種です。
加熱して食べることの多い栗ですが、栗に含まれるビタミンCは加熱しても壊れませんので、安心して食べることができますね。
栗の渋皮の部分にはタンニンというポリフェノールがたっぷり含まれています。タンニンには、抗酸化作用があり、老化予防、がん予防、アレルギーの緩和などが期待できます。栗には胎児の発達に欠かせない葉酸も豊富に含まれていますので、妊婦さんにもおすすめです。
まとめ
秋が旬の果物の栄養についてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?旬の果物は、味はもちろん、栄養も魅力たっぷりです。その季節にしか味わえない魅力たっぷりの秋の果物を堪能してください。
管理栄養士
管理栄養士として、病院・保育園で長年勤務している。保育園では献立作成・発注・大量調理・食育を担当。現在は病院にて、栄養指導・栄養管理・献立作成などを担当している。 プライベートでは、5歳と2歳の兄妹の母として家族の健康を守るべく日々奮闘しております。